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xxxy 01
「あ、ああっ!」
鋭く甲高い嬌声が豪華な寝室に響き渡る。
高層マンションの45階からは美しい夜景が見渡せるが、おれの目には何も入らない。夫がおれを激しく突き立てるからだ。
夫の物がおれの中にめり込んでくるたびに、快感が脳天を突き抜ける。女としてのはじめてのセックスは、想像、いや、推測していたよりもはるかに凄かった。おれは、よがり声を上げ続けている。
同じ頃、安アパートの暗闇の中で目を覚ましたおれは、煎餅布団から手を出して、枕元においたティッシュに手を伸ばした。手探りではなかなかティッシュを掴むことができない。
その間も夫の攻めは続いていた。おれの若くて豊満な体は、夫の攻めをいくらでも受け入れる。
「ああぁーーーっ!」
おれの声はさっきよりもさらに高くなり、悲鳴に近くなっていた。ただし、どんな悲鳴を出しても他人に聞かれる気遣いはない。この45階はまるまる夫の所有物になっている。
ようやく、ティッシュを掴んだおれは、3枚ほど乱暴に抜き取って、布団の中に押し込んで、股間に当てた。ペニスは今にも爆発しそうなほど、怒張しきっていた。こんなことはいつ以来だろう? 若い頃は、何日も抜かないとこうなることはあったが、40歳を過ぎてからは記憶にない。30代でもなかったかも知れない。おれは、ティッシュを掴んだ手で、ペニスを握り締めた。異常なほど熱くなっているのがわかった。
夫の動きがますます激しくなった。そのたびにおれの張りのある乳房がぶるんぶるんと揺れる。
おれは右手をしごきはじめた。
快感は最高潮に達しつつある。
「イ、イクゥーッ!」
おれが叫ぶのと同時に、夫が大量の精子をおれの中にぶちまけた。おれの意識が飛んだ。
同時に、おれもティッシュの中に発射した。
「あっ」
発射と同時に思わず声が出た。このアパートの壁は薄い。隣に住む学生に今の声を聞かれなかったか心配になった。
おれの出した精子はあまりに大量だったため、ティッシュはほとんど役に立たなかった。
鋭く甲高い嬌声が豪華な寝室に響き渡る。
高層マンションの45階からは美しい夜景が見渡せるが、おれの目には何も入らない。夫がおれを激しく突き立てるからだ。
夫の物がおれの中にめり込んでくるたびに、快感が脳天を突き抜ける。女としてのはじめてのセックスは、想像、いや、推測していたよりもはるかに凄かった。おれは、よがり声を上げ続けている。
同じ頃、安アパートの暗闇の中で目を覚ましたおれは、煎餅布団から手を出して、枕元においたティッシュに手を伸ばした。手探りではなかなかティッシュを掴むことができない。
その間も夫の攻めは続いていた。おれの若くて豊満な体は、夫の攻めをいくらでも受け入れる。
「ああぁーーーっ!」
おれの声はさっきよりもさらに高くなり、悲鳴に近くなっていた。ただし、どんな悲鳴を出しても他人に聞かれる気遣いはない。この45階はまるまる夫の所有物になっている。
ようやく、ティッシュを掴んだおれは、3枚ほど乱暴に抜き取って、布団の中に押し込んで、股間に当てた。ペニスは今にも爆発しそうなほど、怒張しきっていた。こんなことはいつ以来だろう? 若い頃は、何日も抜かないとこうなることはあったが、40歳を過ぎてからは記憶にない。30代でもなかったかも知れない。おれは、ティッシュを掴んだ手で、ペニスを握り締めた。異常なほど熱くなっているのがわかった。
夫の動きがますます激しくなった。そのたびにおれの張りのある乳房がぶるんぶるんと揺れる。
おれは右手をしごきはじめた。
快感は最高潮に達しつつある。
「イ、イクゥーッ!」
おれが叫ぶのと同時に、夫が大量の精子をおれの中にぶちまけた。おれの意識が飛んだ。
同時に、おれもティッシュの中に発射した。
「あっ」
発射と同時に思わず声が出た。このアパートの壁は薄い。隣に住む学生に今の声を聞かれなかったか心配になった。
おれの出した精子はあまりに大量だったため、ティッシュはほとんど役に立たなかった。
1年前まで、おれは都内の食品卸会社に勤める41歳独身のしがないサラリーマンに過ぎなかった。
実際のところ、今でも、都内の食品卸会社に勤める独身のしがないサラリーマンであることには変わりはない。歳だけはひとつ増えて42歳になったが。
1年前と今とで最も変わったところは、「過ぎなかった」というところだ。今のおれは、相変わらず中年のサラリーマンだが、同時に、双葉という名の24歳の人妻でもあるのだ。
きっかけは、盲腸だった。
その日、朝から腹がキリキリと痛む気がしていたおれは、課長に早退を申し出た後、その場で倒れた。鞄を持って3歩歩いたところで急に意識を失い、ばったりと倒れたそうだ。
「君は、ちゃんと早退を申し出てから倒れるなんて、律義者だねぇ」
今では、課長は冗談めかしてそう言うが、そのときは、おれがあまりに急に倒れたため、社内は騒然としていたそうだ。すぐに救急車で近くの病院に運ばれ、緊急手術。診断は急性盲腸炎。退院するときに聞かされた話では、相当危なかったらしい。
手術は無事に成功し、あとは体力の回復を待って、退院ということになる筈だったのだが、その頃から俺は不思議な夢を見るようになった。
大抵は、息をするのが苦しかったり、体が全く動かなかったりというもの。意識の方もぼんやりしていて、その意識もだんだん遠のいていく夢。
この夢の不思議なところは、意識が遠のいていって完全になくなった、ということをおれが意識していることだった。人は誰だって、意識が途切れた瞬間を意識することなんてできない筈だ。それを意識できるということは、意識が途切れていないということだから。
正直言って、何がなんだかわからない。
大体、今の話のどこまでが夢で、どこからが現実なのかもよく理解できなかったし、それが意味するもの(そんなものがあるとしてだが)もちっともわからない。
そんな不思議な体験が何日か続き、肉体的には回復してもいるのに、この不思議な夢のせいで、退院が延び延びになっていた。時々意識が混濁するということらしい。そんなある日、おれは気付くと見知らぬ天井を見つめていた。いつもの病室とは微妙に色が違う。寝ているうちに病室を移されたのかと思っていたら、見知らぬ男の顔がおれの目の前に現れた。
「ふたば! 気が付いたのか? ……ああ、よかった」
男は30代だろうか。嬉しいような、その一方では泣きそうな、そんな複雑な表情で、おれに顔を近寄せてくる。いきなり、男の顔のアップを見せられて、不気味に思って逃げようとしたが、おれは動けなかった。
「ふたば」
どういうわけだか、男はおれにそう呼びかける。
「よかった、よかったよ」
そう言って、男は両手でおれの頬を撫でた。やめろ、気色悪い、と思った瞬間、おれは意識を手放した。
しばらくして起きると、おれは見慣れた天井を見ていた。夢だったんだろうか? 考えてもわからない。このところ、夢と現実の違いがわからなくなっている。しかも、日に日に酷くなっている感じだ。どこかおかしいところがないか、あとで担当医に聞いてみないといけないな。
そんなことを考えていると、「ふたば」という声が聞こえて、さっきの男の顔が目の前に出てきた。
(?)
何かが微妙に違う。さっきと同じ男には違いないのだが、よく見ると、男の顔が透けて天井の模様が見えている。
「ゆ、幽霊?」
そんなことを口走って跳ね起きた。
いや、口走ったつもり、跳ね起きたつもりだったが、おれは動けなくなっていた。
「おい、ふたば、どうしたんだ?」
目の前の半透明の男が不安そうに言う。話しかけてくる声もなんかおかしい。まるで、ステレオの右だけ聴いているような感じだろうか。
そのうちに、ドアが開閉する音がして、「体温計りますよ」という明るい声で看護師が入ってきた。体温計を片手におれの顔を覗き込もうとする。こちらの声も妙に現実感に乏しい。男がまだ覗き込んだままなので、2人の頭がぶつかるかと思ったら、看護師の頭が男の顔を突き抜けて、2つの顔が重なり合った。
おれは、何がなんだかわからず、その場で気を失った。
次に目が覚めたとき、今度は知らない方の天井だった。男はいなかった。
体がなんとなくだるい。病院のベッドだというのはわかるが、胸のところに重しを載せられている気分だ。
体は動くのだろうか?
ゆっくりと、右手を握ってみる。何とか動く。だけど、ひどく動かしづらい。動かし方が間違っている気さえする。
首を少し動かして、室内を見回した。ちょっと見ただけで、おれが入院していた部屋とは比べ物にならないぐらい豪華な部屋だとわかった。点滴が取り付けられているところを見ると、ここも病室なのだろう。ベッドは病院独特のスチール製ではなく、木でできていた。ベッド脇の椅子も折りたたみのものではなく、しっかりした木の椅子のようだ。カーテンは厚手で凝った模様が刺繍されている。床は見えないが、この分だと、絨毯が敷き詰められているに違いない。壁には風景画まで飾ってあった。
おれは、右手を布団から出そうと手繰り寄せた。腹の横を滑り、胸の上を通過するときに、障害物に突き当たった。何か柔らかい物に阻まれておれの右手はストップしてしまった。おれの胸の上に何かが置かれていることを、おれの右手は告げていた。
それはいい。
問題は、おれの脳にもうひとつの感覚が伝えられてきたことだ。おれのどこかに何かが触った感覚。何かというのは、おれの右手だろう。だったら、どこかというのは、どこだ?
それは、おれの胸の上にある。おれは、左手を胸の上に置いていたんだろうか? そんなことはない。おれの左手は、ベッドの中で体の横にくっついたままだ。まさか、足を載せてるなんてこともない。
おれは、右手でおれの胸の上にあるものを掴んでみた。
(あっ)
おれの胸が掴まれる感覚が、脳に伝わってきた。
結局のところ、おれは、どういうわけか、この高そうな病室に入院している別人に乗り移ってしまった、と結論付けるしかなかった。しかも、この体は女の体のようだ。おれが触ったのは乳房に違いないし、その後、左手を股間にやって、確認もした。少なくとも、男じゃない。そう言えば、髪も長く伸びている。
前後のことから考えると、おれを「ふたば」と呼んでいた男は、この体の夫に違いない。たぶん、この体は「ふたば」という名前なのだろう。おれがこの体で目覚めたときの反応から考えると、病気か事故かわからないが、意識不明の重態で、生死を彷徨っていたのに違いない。
こうして、おれは、「ふたば」という人妻として、第2の人生を歩き始めた。
となったら、話は簡単かもしれなかったが、そうはいかなかった。おれの元々の体もちゃんと生きていて、おれは、元々の体でも目を覚ますのだ。どうやら、おれも「ふたば」も同じ病院に入院しているらしい。もっとも、おれは普通の個室なのに対して、「ふたば」はベッドがなければホテルと間違えてしまいそうな「特別病室」と待遇には雲泥の差があるのだが。目を覚ましたとき、おれは、元々の自分として目を覚ましたのか、それとも「ふたば」になっているのか、毎回確認しないといけなかった。「ふたば」になったり、おれに戻ったりと、混乱するばかりで、頭が破裂しそうだった。いっそのこと、どちらかの体が死んでくれればよかったのかもしれないが、皮肉なことに、おれも「ふたば」も日に日に回復していくようだった。
体が回復していくにつれ、別の問題が頻発するようになった。それまでは、おれも「ふたば」も重病人だったため、ほとんどの時間は寝て過ごしていた。そのため、2つの体が同時に起きていることはあまりなかった。それが、2つの体が普通の生活リズムに近づいていくと、同時に起きていることが多くなったのだ。
2つの体が同時に起きていると、どうなるのか?
動かなくなるのだ。両方とも。
例えば、おれが先に起きていて、食事をしていたとする。そのとき「ふたば」が目を覚ますと、おれは、ひどい頭痛が襲ってきて、見事なまでにその場で止まってしまう。うどんを啜っている時なら、麺が半分口から生えている状態で、頭からどんぶりにダイブしてしまう。味噌汁だろうがお茶だろうが、その場で落としてしまうから、危なくて仕方がない。折角退院寸前まで行ったのに、また、水をチューブから吸う生活に逆戻りだった。
おれの体が悲惨な目に遭っている頃、後から目覚めた「ふたば」はどうなるかというと、目が覚めた瞬間、いきなり意識を失うので、はたから見る分には、眠り続けているようにしか見えないようだ。もちろん、「ふたば」が先に起きていておれが後から目覚めても同じことが立場を逆にして起きる。特別病室の住人である「ふたば」は付き添いの看護師が常にいて、被害を最小限に食い止めることができていたようだが。
そんなことがあって、おれも「ふたば」も体はとっくに回復しているのに、頻繁に意識不明となる「奇病」のため、なかなか退院できないでいた。以前は、体を起こすぐらいはできていたのに、今はそれもさせてもらえない。そのせいで、おれは「ふたば」がどんな顔をしているのかも知らなかった。胸が大きいらしいということは、わかっていたが。
おれの考えでは、おれも、「ふたば」も完治している。ただ、おれが2つの体を持ってしまったばっかりに、体を動かせなくなってしまっただけなのだ。
考えてみれば、当然だ。人間、誰でも2本の手と2本の足を動かすので精一杯なのだ。それをいきなり、4本の手と4本の足を動かせと言われても、できるわけがない。2人の人間が、お互いに意思の疎通なく1人の人間として行動することを強要される二人羽織というゲームがあるが、今のおれはその逆だ。2つの体の間になまじ意思の疎通があるばかりに、体のどの部分をどう動かせばいいのか、わからないのだ。しかも、体を動かすに当たって最も重要な情報源である視覚は、常時2つの異なる映像をおれに送ってくる。結果、おれはソフトを立ち上げすぎたパソコンのようにフリーズする。
こんな状態が何日も続いた。おれは、何もできなかった。どうしたらいいのかさえ、わからなかった。
そして、ついに、あの記念すべき日がやってきた。
その日、おれは、「ふたば」になっていた。真夜中に目が覚めたのだ。おれの体の方は、さっき眠ったばかりだから、しばらくは起きないはずだ。
部屋の明かりは消えていたが、窓から月明かりが差し込んでいて、薄っすらと部屋の様子が見て取れた。
おれは、ちょっと起き上がってみた。体を起こしたのは、久しぶりだ。胸が重い。
付き添いの看護師の姿も見当たらなかった。
おれは、ベッドを降りてみた。この体は、しばらく寝たきりだったはずだが、何とか降りられた。スリッパも何もなかったけど、絨毯があったので、裸足でも冷たくはない。
改めて部屋を見渡す。ベッドの周りにはいろいろな医療機器が置いてあって、そこを見れば、病室だが、それ以外は、まるっきりホテルといった感じだ。風呂もトイレも部屋の中に備え付けてある。入り口がやたら広くて引き戸式なのがホテルとは違う点だった。
おれは、歩いてみることにした。ひどくバランスが悪い。胸のせいだ。歩くたびに大きな乳房が揺れたが、歩くこと自体はできそうだ。
ベッドを回り込んで、バスルームへ向かう。手探りで、スイッチを探した。浴室の中が明るくなった。
風呂は、さすがに病院らしく、患者を入れることを優先して作られていた。隅の方には洗面台があった。その前に置いてある椅子に座った。そこで、ようやく目当てのものを見つけた。
鏡だ。
この女になって、初めて自分の顔を見てみる。
びっくりした。
まず、若かった。あの夫らしき男は恐らく、30代。40近いかも知れないことから、この「ふたば」という妻も30代ぐらいだと思っていたのだが、鏡の中に映るおれは、どう見ても20代前半。夫と一回り以上は違うだろう。
しかも、相当な美人だ。それも、きつい感じの美女ではなく、どちらかというと、かわいい、に近い美人。長期入院中のスッピンでこれだと、ちゃんと化粧したら、どうなるんだろうと思った。
あの男、こんな高級ホテルみたいな病室に妻を長期入院させておけるぐらいだから、相当な金持ちなんだろうが、それにしても、こんな若くて美人で巨乳の女房を持っているなんて。こんないい女と夜毎やっていたのか、あの男は……。
そこまで考えて、今はおれがその若くて美人で巨乳の女房なのだと気付いた。
鏡を見ると、病院の寝巻きの前が少しはだけていて、大きな胸の谷間が覗いている。
その瞬間、おれは、慌てて寝巻きを掴んで、胸を隠した。
何だ、この動きは?
おれがおれに胸を見られて、咄嗟に隠したというのか?
鏡には、顔を赤らめて少女のように恥らう若い娘の姿がある。
かわいい。
おれは、思わず寝巻きを掴んでいた腕をぎゅっと抱きしめた。腕の中で、おれの大きな胸が押し潰されるのを感じた。
何、この感じ?
鼓動が速くなっている。腕をゆっくりとほどいて、心臓に当てようとした。右手が左の乳房に触れた。
鏡には、乳房の割には小さな乳首が見えていた。
さっきは少女のように見えていた女が、淫らな雰囲気を醸し出しはじめている。
(この女がおれなのか?)
おれは、右手でゆっくりと左の乳房を撫ではじめた。柔らかくて、吸い付きそうな肌。おれの手の動きで、次第に寝巻きがはだけていく。右の乳首も見えてきた。
おれは、両手で乳房を撫で回した。凄い光景だ。鏡の中では、豊満な体つきの若い女が蕩けるような表情で自分の胸を揉みしだいている。
(なんていやらしい女なんだ、おれは)
胸の先が硬くなってきたのがわかる。乳首が立ってきたのだ。乳房を撫で回していた指が右の乳首にわずかに当たった。
「あんっ」
思わず声が出た。意外と可愛らしい声だ。おれの可愛らしい声。
口紅もつけていないのに、ピンクのおれの唇。
顔は、桜色に染まっている。
胸を揉む手が早くなる。胸だけじゃ我慢できない。
股間が湿り気を帯びてきているのが自分でもわかった。
右手が十分に揉みほぐした左胸を離れ、下半身へと移動する。
おれの細くしなやかな指が、股間を這い、敏感な部分を探り当てた。
「ああっ!」
鋭い声が出た。
凄い。触れただけでこれだ。
左手で右の乳首を摘んだ。
「んんっ」
どちらも凄い。
おれは、胸と股間を交互に攻め続けた。
おれは、股間と胸からの刺激に翻弄される。
完全に濡れてきたおれの股間から、愛液が染み出しているのがわかる。右手の指に粘液が絡んだ。
(あとは、あそこだけ)
おれの中で何かが弾けようとしていた。
指が割れ目を探り当てた。恐る恐る、人差し指を入れてみる。
「っ」
声にならない声。もうそこまで来ている感じ。
今度は思い切って、指を奥まで入れてみた。
「ん、んんんっ」
あと少し。あと少しで。
おれを取り巻く見えない殻にひびが入ってきた。
奥に入れた指をかき回してみた。
「あああっ」
もうちょっと。あと、ほんの少しだけ。
おれは、一旦人差し指を出し、中指と2本にして、思いっきり奥まで突き上げた。
「あ、あっ、ああああーーーーっ!」
絶頂。
おれの目の前が真っ白になった。
実際のところ、今でも、都内の食品卸会社に勤める独身のしがないサラリーマンであることには変わりはない。歳だけはひとつ増えて42歳になったが。
1年前と今とで最も変わったところは、「過ぎなかった」というところだ。今のおれは、相変わらず中年のサラリーマンだが、同時に、双葉という名の24歳の人妻でもあるのだ。
きっかけは、盲腸だった。
その日、朝から腹がキリキリと痛む気がしていたおれは、課長に早退を申し出た後、その場で倒れた。鞄を持って3歩歩いたところで急に意識を失い、ばったりと倒れたそうだ。
「君は、ちゃんと早退を申し出てから倒れるなんて、律義者だねぇ」
今では、課長は冗談めかしてそう言うが、そのときは、おれがあまりに急に倒れたため、社内は騒然としていたそうだ。すぐに救急車で近くの病院に運ばれ、緊急手術。診断は急性盲腸炎。退院するときに聞かされた話では、相当危なかったらしい。
手術は無事に成功し、あとは体力の回復を待って、退院ということになる筈だったのだが、その頃から俺は不思議な夢を見るようになった。
大抵は、息をするのが苦しかったり、体が全く動かなかったりというもの。意識の方もぼんやりしていて、その意識もだんだん遠のいていく夢。
この夢の不思議なところは、意識が遠のいていって完全になくなった、ということをおれが意識していることだった。人は誰だって、意識が途切れた瞬間を意識することなんてできない筈だ。それを意識できるということは、意識が途切れていないということだから。
正直言って、何がなんだかわからない。
大体、今の話のどこまでが夢で、どこからが現実なのかもよく理解できなかったし、それが意味するもの(そんなものがあるとしてだが)もちっともわからない。
そんな不思議な体験が何日か続き、肉体的には回復してもいるのに、この不思議な夢のせいで、退院が延び延びになっていた。時々意識が混濁するということらしい。そんなある日、おれは気付くと見知らぬ天井を見つめていた。いつもの病室とは微妙に色が違う。寝ているうちに病室を移されたのかと思っていたら、見知らぬ男の顔がおれの目の前に現れた。
「ふたば! 気が付いたのか? ……ああ、よかった」
男は30代だろうか。嬉しいような、その一方では泣きそうな、そんな複雑な表情で、おれに顔を近寄せてくる。いきなり、男の顔のアップを見せられて、不気味に思って逃げようとしたが、おれは動けなかった。
「ふたば」
どういうわけだか、男はおれにそう呼びかける。
「よかった、よかったよ」
そう言って、男は両手でおれの頬を撫でた。やめろ、気色悪い、と思った瞬間、おれは意識を手放した。
しばらくして起きると、おれは見慣れた天井を見ていた。夢だったんだろうか? 考えてもわからない。このところ、夢と現実の違いがわからなくなっている。しかも、日に日に酷くなっている感じだ。どこかおかしいところがないか、あとで担当医に聞いてみないといけないな。
そんなことを考えていると、「ふたば」という声が聞こえて、さっきの男の顔が目の前に出てきた。
(?)
何かが微妙に違う。さっきと同じ男には違いないのだが、よく見ると、男の顔が透けて天井の模様が見えている。
「ゆ、幽霊?」
そんなことを口走って跳ね起きた。
いや、口走ったつもり、跳ね起きたつもりだったが、おれは動けなくなっていた。
「おい、ふたば、どうしたんだ?」
目の前の半透明の男が不安そうに言う。話しかけてくる声もなんかおかしい。まるで、ステレオの右だけ聴いているような感じだろうか。
そのうちに、ドアが開閉する音がして、「体温計りますよ」という明るい声で看護師が入ってきた。体温計を片手におれの顔を覗き込もうとする。こちらの声も妙に現実感に乏しい。男がまだ覗き込んだままなので、2人の頭がぶつかるかと思ったら、看護師の頭が男の顔を突き抜けて、2つの顔が重なり合った。
おれは、何がなんだかわからず、その場で気を失った。
次に目が覚めたとき、今度は知らない方の天井だった。男はいなかった。
体がなんとなくだるい。病院のベッドだというのはわかるが、胸のところに重しを載せられている気分だ。
体は動くのだろうか?
ゆっくりと、右手を握ってみる。何とか動く。だけど、ひどく動かしづらい。動かし方が間違っている気さえする。
首を少し動かして、室内を見回した。ちょっと見ただけで、おれが入院していた部屋とは比べ物にならないぐらい豪華な部屋だとわかった。点滴が取り付けられているところを見ると、ここも病室なのだろう。ベッドは病院独特のスチール製ではなく、木でできていた。ベッド脇の椅子も折りたたみのものではなく、しっかりした木の椅子のようだ。カーテンは厚手で凝った模様が刺繍されている。床は見えないが、この分だと、絨毯が敷き詰められているに違いない。壁には風景画まで飾ってあった。
おれは、右手を布団から出そうと手繰り寄せた。腹の横を滑り、胸の上を通過するときに、障害物に突き当たった。何か柔らかい物に阻まれておれの右手はストップしてしまった。おれの胸の上に何かが置かれていることを、おれの右手は告げていた。
それはいい。
問題は、おれの脳にもうひとつの感覚が伝えられてきたことだ。おれのどこかに何かが触った感覚。何かというのは、おれの右手だろう。だったら、どこかというのは、どこだ?
それは、おれの胸の上にある。おれは、左手を胸の上に置いていたんだろうか? そんなことはない。おれの左手は、ベッドの中で体の横にくっついたままだ。まさか、足を載せてるなんてこともない。
おれは、右手でおれの胸の上にあるものを掴んでみた。
(あっ)
おれの胸が掴まれる感覚が、脳に伝わってきた。
結局のところ、おれは、どういうわけか、この高そうな病室に入院している別人に乗り移ってしまった、と結論付けるしかなかった。しかも、この体は女の体のようだ。おれが触ったのは乳房に違いないし、その後、左手を股間にやって、確認もした。少なくとも、男じゃない。そう言えば、髪も長く伸びている。
前後のことから考えると、おれを「ふたば」と呼んでいた男は、この体の夫に違いない。たぶん、この体は「ふたば」という名前なのだろう。おれがこの体で目覚めたときの反応から考えると、病気か事故かわからないが、意識不明の重態で、生死を彷徨っていたのに違いない。
こうして、おれは、「ふたば」という人妻として、第2の人生を歩き始めた。
となったら、話は簡単かもしれなかったが、そうはいかなかった。おれの元々の体もちゃんと生きていて、おれは、元々の体でも目を覚ますのだ。どうやら、おれも「ふたば」も同じ病院に入院しているらしい。もっとも、おれは普通の個室なのに対して、「ふたば」はベッドがなければホテルと間違えてしまいそうな「特別病室」と待遇には雲泥の差があるのだが。目を覚ましたとき、おれは、元々の自分として目を覚ましたのか、それとも「ふたば」になっているのか、毎回確認しないといけなかった。「ふたば」になったり、おれに戻ったりと、混乱するばかりで、頭が破裂しそうだった。いっそのこと、どちらかの体が死んでくれればよかったのかもしれないが、皮肉なことに、おれも「ふたば」も日に日に回復していくようだった。
体が回復していくにつれ、別の問題が頻発するようになった。それまでは、おれも「ふたば」も重病人だったため、ほとんどの時間は寝て過ごしていた。そのため、2つの体が同時に起きていることはあまりなかった。それが、2つの体が普通の生活リズムに近づいていくと、同時に起きていることが多くなったのだ。
2つの体が同時に起きていると、どうなるのか?
動かなくなるのだ。両方とも。
例えば、おれが先に起きていて、食事をしていたとする。そのとき「ふたば」が目を覚ますと、おれは、ひどい頭痛が襲ってきて、見事なまでにその場で止まってしまう。うどんを啜っている時なら、麺が半分口から生えている状態で、頭からどんぶりにダイブしてしまう。味噌汁だろうがお茶だろうが、その場で落としてしまうから、危なくて仕方がない。折角退院寸前まで行ったのに、また、水をチューブから吸う生活に逆戻りだった。
おれの体が悲惨な目に遭っている頃、後から目覚めた「ふたば」はどうなるかというと、目が覚めた瞬間、いきなり意識を失うので、はたから見る分には、眠り続けているようにしか見えないようだ。もちろん、「ふたば」が先に起きていておれが後から目覚めても同じことが立場を逆にして起きる。特別病室の住人である「ふたば」は付き添いの看護師が常にいて、被害を最小限に食い止めることができていたようだが。
そんなことがあって、おれも「ふたば」も体はとっくに回復しているのに、頻繁に意識不明となる「奇病」のため、なかなか退院できないでいた。以前は、体を起こすぐらいはできていたのに、今はそれもさせてもらえない。そのせいで、おれは「ふたば」がどんな顔をしているのかも知らなかった。胸が大きいらしいということは、わかっていたが。
おれの考えでは、おれも、「ふたば」も完治している。ただ、おれが2つの体を持ってしまったばっかりに、体を動かせなくなってしまっただけなのだ。
考えてみれば、当然だ。人間、誰でも2本の手と2本の足を動かすので精一杯なのだ。それをいきなり、4本の手と4本の足を動かせと言われても、できるわけがない。2人の人間が、お互いに意思の疎通なく1人の人間として行動することを強要される二人羽織というゲームがあるが、今のおれはその逆だ。2つの体の間になまじ意思の疎通があるばかりに、体のどの部分をどう動かせばいいのか、わからないのだ。しかも、体を動かすに当たって最も重要な情報源である視覚は、常時2つの異なる映像をおれに送ってくる。結果、おれはソフトを立ち上げすぎたパソコンのようにフリーズする。
こんな状態が何日も続いた。おれは、何もできなかった。どうしたらいいのかさえ、わからなかった。
そして、ついに、あの記念すべき日がやってきた。
その日、おれは、「ふたば」になっていた。真夜中に目が覚めたのだ。おれの体の方は、さっき眠ったばかりだから、しばらくは起きないはずだ。
部屋の明かりは消えていたが、窓から月明かりが差し込んでいて、薄っすらと部屋の様子が見て取れた。
おれは、ちょっと起き上がってみた。体を起こしたのは、久しぶりだ。胸が重い。
付き添いの看護師の姿も見当たらなかった。
おれは、ベッドを降りてみた。この体は、しばらく寝たきりだったはずだが、何とか降りられた。スリッパも何もなかったけど、絨毯があったので、裸足でも冷たくはない。
改めて部屋を見渡す。ベッドの周りにはいろいろな医療機器が置いてあって、そこを見れば、病室だが、それ以外は、まるっきりホテルといった感じだ。風呂もトイレも部屋の中に備え付けてある。入り口がやたら広くて引き戸式なのがホテルとは違う点だった。
おれは、歩いてみることにした。ひどくバランスが悪い。胸のせいだ。歩くたびに大きな乳房が揺れたが、歩くこと自体はできそうだ。
ベッドを回り込んで、バスルームへ向かう。手探りで、スイッチを探した。浴室の中が明るくなった。
風呂は、さすがに病院らしく、患者を入れることを優先して作られていた。隅の方には洗面台があった。その前に置いてある椅子に座った。そこで、ようやく目当てのものを見つけた。
鏡だ。
この女になって、初めて自分の顔を見てみる。
びっくりした。
まず、若かった。あの夫らしき男は恐らく、30代。40近いかも知れないことから、この「ふたば」という妻も30代ぐらいだと思っていたのだが、鏡の中に映るおれは、どう見ても20代前半。夫と一回り以上は違うだろう。
しかも、相当な美人だ。それも、きつい感じの美女ではなく、どちらかというと、かわいい、に近い美人。長期入院中のスッピンでこれだと、ちゃんと化粧したら、どうなるんだろうと思った。
あの男、こんな高級ホテルみたいな病室に妻を長期入院させておけるぐらいだから、相当な金持ちなんだろうが、それにしても、こんな若くて美人で巨乳の女房を持っているなんて。こんないい女と夜毎やっていたのか、あの男は……。
そこまで考えて、今はおれがその若くて美人で巨乳の女房なのだと気付いた。
鏡を見ると、病院の寝巻きの前が少しはだけていて、大きな胸の谷間が覗いている。
その瞬間、おれは、慌てて寝巻きを掴んで、胸を隠した。
何だ、この動きは?
おれがおれに胸を見られて、咄嗟に隠したというのか?
鏡には、顔を赤らめて少女のように恥らう若い娘の姿がある。
かわいい。
おれは、思わず寝巻きを掴んでいた腕をぎゅっと抱きしめた。腕の中で、おれの大きな胸が押し潰されるのを感じた。
何、この感じ?
鼓動が速くなっている。腕をゆっくりとほどいて、心臓に当てようとした。右手が左の乳房に触れた。
鏡には、乳房の割には小さな乳首が見えていた。
さっきは少女のように見えていた女が、淫らな雰囲気を醸し出しはじめている。
(この女がおれなのか?)
おれは、右手でゆっくりと左の乳房を撫ではじめた。柔らかくて、吸い付きそうな肌。おれの手の動きで、次第に寝巻きがはだけていく。右の乳首も見えてきた。
おれは、両手で乳房を撫で回した。凄い光景だ。鏡の中では、豊満な体つきの若い女が蕩けるような表情で自分の胸を揉みしだいている。
(なんていやらしい女なんだ、おれは)
胸の先が硬くなってきたのがわかる。乳首が立ってきたのだ。乳房を撫で回していた指が右の乳首にわずかに当たった。
「あんっ」
思わず声が出た。意外と可愛らしい声だ。おれの可愛らしい声。
口紅もつけていないのに、ピンクのおれの唇。
顔は、桜色に染まっている。
胸を揉む手が早くなる。胸だけじゃ我慢できない。
股間が湿り気を帯びてきているのが自分でもわかった。
右手が十分に揉みほぐした左胸を離れ、下半身へと移動する。
おれの細くしなやかな指が、股間を這い、敏感な部分を探り当てた。
「ああっ!」
鋭い声が出た。
凄い。触れただけでこれだ。
左手で右の乳首を摘んだ。
「んんっ」
どちらも凄い。
おれは、胸と股間を交互に攻め続けた。
おれは、股間と胸からの刺激に翻弄される。
完全に濡れてきたおれの股間から、愛液が染み出しているのがわかる。右手の指に粘液が絡んだ。
(あとは、あそこだけ)
おれの中で何かが弾けようとしていた。
指が割れ目を探り当てた。恐る恐る、人差し指を入れてみる。
「っ」
声にならない声。もうそこまで来ている感じ。
今度は思い切って、指を奥まで入れてみた。
「ん、んんんっ」
あと少し。あと少しで。
おれを取り巻く見えない殻にひびが入ってきた。
奥に入れた指をかき回してみた。
「あああっ」
もうちょっと。あと、ほんの少しだけ。
おれは、一旦人差し指を出し、中指と2本にして、思いっきり奥まで突き上げた。
「あ、あっ、ああああーーーーっ!」
絶頂。
おれの目の前が真っ白になった。
テーマ : *自作小説*《SF,ファンタジー》 - ジャンル : 小説・文学
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まずは、01から。
そもそも、どういう経緯でこの話を思いついたのか、憶えていないのですが、図書館にアップしたのが、2月23日ってなっていますね。書き始めたのは、多分それから1ヶ月以上前で、一応、書き上げては見たものの、アップしようかどうしようか、2週間ぐらい迷っていたと思います。
ネットに作品をアップするなんて、はじめての経験でしたから。
それに、その頃には、02まで書き上げていて、多分、それが不評だろうなぁ、とも思っていましたし。
当初は、ほんと、冒頭部分を書いて、それに至る経緯をちょこちょこっと書いて、その先へ進むつもりだったのですが、いつまでたっても、冒頭部分までたどりつかないので、どうなることかと思いました。
実は、すぐに翌日の話になる予定だったので、翌日の話も少し書いてあったんですけどね。
最初は、メモ帳にちょこちょこ書いていました。ある程度の分量になったので、一旦ファイルに保存しておこうと思い、適当なファイル名をつけました。まあ、仮の名前のときによく使うxという文字を4つばかり重ねただけのファイル名です。で、その後、書き進めてみて、ちっとも冒頭部に戻れないので、翌日分の話とは、ファイルを分けた方がよかろうと思って、別名で保存しようとしたんですね。その際、同じ名前じゃ駄目なので、仮のファイル名の最後の1文字をアルファベットの次の文字に変えたんです。そうやってできたファイル名がxxxy。
ですから、このxxxyというタイトルは、偶然の産物です。
でも、お話の内容にマッチしたいいタイトルですよね。
わたしは、タイトルをつけるのがとても苦手なので、偶然つけられたのは、ラッキーでした。